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 近藤孝次公認会計士事務所/近藤孝次税理士事務所

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事業承継税制は本当に使えるのか

事業承継税制は経営者の高齢化が進む中小企業の事業承継対策として注目されている

12月21日に平成31年度税制改正大綱が公表されました。
今回の税制改正大綱で大きく注目されたのは「個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度の創設」(以下、「個人事業主版 事業承継税制」)ではないでしょうか。
法人向けの事業承継税制については、平成30年の税制改正により大きな改正があり、一定の要件を充たすことにより猶予税額が免除されることが明確化されたため大きな注目をあびて、現在も適用を検討する経営者は多くいます。
個人事業主版の事業承継税制についても大綱において、相続税及び贈与税において適用可能なこと、特定事業用資産には土地及び建物に加えてそれ以外の減価償却資産も含まれること、条件を満たした場合には猶予税額が全額免除されることなどの大枠が公表されていますが、その詳細については今後順次公表されるため、また詳細公表後に詳しく説明させていただきます。

今回は、平成30年度に大きく改正された法人向けの事業承継税制について説明いたします。

事業承継税制は、「非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例等」制度の略称です。
この制度は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。
つまり、この制度を受けることができた場合には、承継に関する株式について猶予された贈与税及び相続税を一定の要件を充たすことにより全額免除してもらえるというありがたい制度なのです。

中小企業を中心とした経営者はオーナーである筆頭株主を兼ねていることが多く、その場合、株式という財産を有しています。
成長発展する会社は経営成績及び財産状況がよくなり、同時に株式の価値も上がります。
一見、ありがたいことに感じますが、相続税及び贈与税の計算においてはその税負担が増えるためマイナスの要素と言えるでしょう。
なぜなら、非上場会社の株式は中小企業に多い同族経営の中で保有されることが多く、売買による換金が限定的であるため、株式を承継する者が税負担できず承継できない可能性が出てくるからです。
そんな中で、事業承継税制の存在は、株式価値の向上を懸念することなく、企業の成長発展に尽力できるため大変ありがたい制度といえます。

事業承継税制の主な要件は以下のとおりです。(贈与の場合)
【贈与者(経営者)の要件】
 会社の代表者であった者(代表者要件)。贈与直前に代表者及び同族関係者等を合わせた議決権数が50%超(支配株主グループ要件)。贈与直前に代表者が後継者を除く全株主の中で最も多くの議決権を有している(筆頭株主要件)。贈与時に会社の代表者を退任している(代表者退任要件)。 等
※相続時も、代表者退任要件(相続時には当然に退任しているため)を除いて同要件が必要。
【受贈者(後継者)の要件】
 贈与日において20歳以上である者(成年要件)。贈与時において会社の代表者となっている者(代表者要件)。贈与時に代表者及び同族関係者等を合わせた議決権数が50%超(支配株主グループ要件)。贈与時に代表者が後継者を除く全株主の中で最も多くの議決権を有している(筆頭株主要件)。贈与税の申告期限まで贈与により取得した株式の全てを引き続き保有すること(株式継続保有要件)。贈与の直前3年以上継続して、会社の役員等であること(役員要件)。 等
※相続時も、成年要件を除いて同要件が必要。相続時は、代表者要件は相続開始の日から5カ月を経過する日において、株式継続保有要件は相続開始時から相続税申告書の提出期限まで引き続き、役員要件は相続開始の直前においてと置き換えて適用。
【会社(対象株式)の要件】
 その会社(子会社含む)が中小企業者(円滑化法2条に規定する)に該当(中小企業者要件)。常時雇用する従業員が1名以上いる(従業員雇用要件)。一定の資産保有型会社及び資産運用会社に該当しないこと(事業要件)。その会社(子会社含む)の株式が非上場株式等に該当する(非上場要件)。その会社(子会社含む)が風俗営業会社に該当しないこと(非風俗営業要件)。その会社の贈与日が属ずる事業年度の前事業年度の総収入金額が、0を超えている(収入要件)。発行する株式のうち拒否権付種類株式(黄金株)を後継者以外の者が保有していないこと(黄金株非保有要件)。 等
事業要件や収入要件は、事業実態がある会社に限定するために設定している要件です。
※相続時も、同要件が必要。
【その他の主な要件】
 贈与日の属する年の翌年の1月15日までに都道府県知事の認定を受けるための申請をする必要があります(都道府県知事の認定要件)。相続の場合は、相続開始の日の翌日から8カ月以内に申請が必要です。
 経営者が保有する株式を後継者へ一括贈与する必要があります。一括贈与は、後継者が以前から保有する株式も含めて発行済株式総数の2/3以上を贈与する必要があります(一括贈与要件)。この要件は贈与時のみの要件です。
 贈与税の申告書の提出期限までに、贈与税の納税猶予額と利子税の合計額に相当する担保を提供する必要があります。納税猶予の対象となる株式を担保に供することも可能(担保提供要件)。相続時も同要件。
 その他各種要件があるため、適用時は必ず税理士等の専門家へご相談をお願いいたします。

平成30年度の税制改正により、特例措置として以下のような大きな改正がありました。
【特例適用期限】 10年以内の贈与・相続等(2018年1月1日~2027年12月31日)
【事前の計画策定】 5年以内の特例承継計画の提出(2018年4月1日~2023年3月31日)
【対象株数】 全株式(改正前は総株式数の最大3分の2まで)
【納税猶予割合】 100%(改正前は、贈与:100%、相続:80%)
【承継パターン】 複数の株主から最大3人の後継者へ(改正前は、複数の株主から1人の後継者のみ)
【雇用確保要件】 相続及び贈与時の雇用の平均割合8割の維持は変わらないが弾力化(下回った場合は報告書提出)
【その他の改正】 事業継続困難自由が生じた場合の免除規定や相続時精算課税の適用等においても改正あり
特例の適用により、全株式が対象となり猶予税額が全額免除となり、改正前の適用を妨げてきた雇用確保要件も下回った場合にも理由記載の報告書提出すればよくなり、大変適用しやすい制度に改正されました。

事業承継税制は、上記のような要件を充たすことにより、最終的に猶予税額が全額免除されるため非常に画期的な事業承継対策といえますが、あくまで納税猶予を前提とした制度であることに注意する必要があります。
すなわち、株式継続保有要件や5年間の事業継続など上記のような要件を充たせない場合には、猶予税額に利子税を加えて納税が必要になる点です。
制度を活用した場合には、以後、雇用確保や株式継続保有、事業継続などの要件により、人員政策や資本政策に制限がかかるため、その活用には税理士等の専門家を交えて十分な検討をする必要があります。
また、制度の適用には経営革新等支援機関の所見を記載した特例承継計画を提出する必要があるため、事業承継を成功させるために承継計画を現状の経営状況や財務状況も踏まえてじっくりと作り込む必要があります。

特例の適用期限は10年間ですが、特例承継計画は5年以内の2023年3月末までに提出する必要があるため、すでに期限は4年程度しか残っていません。
中小企業の事業承継にとっては非常に画期的な制度であるため、検討をしないのは非常に勿体ないといえます。

リクト総合会計事務所も、経営革新等支援機関の認定を受けており、事業承継税制の活用支援を行っております。
期限切れになる前に、ご相談のみでも結構ですのでお気軽にご相談ください。

 

リクト総合会計事務所

代表  近藤 孝次(公認会計士/税理士)

 

[平成31年1月7日]記載日時以降の改正税法には対応しておりません。
制度のご活用には、必ず税理士等の専門家へのご相談をお願いいたします。
本記事により当事務所へのご相談なしに実行された場合に被られた損害については一切責任を負いかねます。

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